消えゆく鉄道'00 その5

50系客車(鹿児島本線・筑豊本線)

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出発3日前の水曜日。Y君が自宅にやってきた。筆者の撮影機材を渡すためである。
今回の目的地は九州、羽田から飛行機で行く。しかし、事情により羽田までの行動は
別々であるが故、車で向かうY君に荷物を託した。さすがにあの重量をかかえて電車に
乗るのはきつい。

そんなこんなで、筆者は金曜夜に東京入りし、所用を消化。そして日曜日の朝を迎えた。

未だ明けない氷川台を6時に出発。車でこちらに向かっているY君の状況を確認する。
現在藤沢付近を走行中との返事だ。羽田には同時か、筆者の方が早く付くと目論む。

しかし山手線で浜松町に着いたと同時に、Y君から入電あり。もう羽田に着いたとのこと。
結局30分ほどの時差を持って、空港にて落ち合った。

さて、さっそく搭乗手続きだ。自動チェックインを済ませた後、荷物を預ける。

あれ?俺のカメラは?





「うぉう、すまねぇ!」


ふざけんなぁっ!なんと自宅に忘れてくるとはっ!
呆然とする筆者。カメラ無くては、はっきり言って旅行に行く意味が全くない。


しかしがっくりしててもカメラが手元に来るわけではない。かといって旅行をやめる
わけにも行かない。まずとにかくY君自宅に電話。宅配便でホテルへ送ってもらおうという案だ。
Y君の父が、近所の日通営業所へアラートするとのこと。問題は今から送って博多に
何時に着くかだ。なにはともあれ、発送しに動いてもらった。

我々はもう搭乗時間も迫っている。すべてはY君の父に託して、
我々は機上の人となった。

約1時間半で福岡に無事到着。さっそくY君自宅へ電話。発送の首尾を確認する。
しかし、「今から送ったら、着くのは明日の夕方だ」そうだ。よって発送は取りやめたとのこと。
たしかに帰り間際に着いても、おみやげが増えるだけだ。

しかたがない。カメラを現地調達することにしよう。
社会人で良かった。

どのみち筆者は近いうちに明るい中古ズームを買うつもりでいたので、それを探し出し、
本体はこの際F50の投げ売り品でもかまわんだろうという結論に至った。

まず何をしたか。いきなり資金調達である。
中洲のスロット専門店に立ち寄り、「梅花月」に挑戦。Y君なんと2G目でビッグを引く。
こりゃ幸先いいぞ、と思うもつかの間、あっという間に飲み込まれ、
結局二人ともマイナス。がっかり。

そのあとカメラ店を探してさまよい歩くが、全然見つからない。結局筑紫口のほうに一軒
量販店を見つけ、入ってみる。
中古の品揃えが薄すぎる。目的のレンズがないのだ。ボディもニコン系のもので
適当な値段のものがない。他に店は見つからなかったし、新品の飾られたショーウィンドウを
うらやましそうに見つめるにとどまった。

とにかくもう少し店を探してみようと歩くが、手応え無し。
ここで、Y君の発言。


「新品、買っちゃうか」


驚きの発言である。もっとも彼も自宅にまともなカメラがないため、購入を考えていたと
のこと。ならば今が買い時だと、そういうことだ。

しかしさっき見てきたニコンF60はレンズセットで5万円。資金にあと一声欲しい。

そんなときはパチンコだ。近くのあやしいホールに飛び込み、勝負。

…結果、Y君「大花火」で玉砕。筆者も「お天気スタジオ」で撃沈。

結局ちょっと高い買い物になってしまうが、いまさらあきらめるわけには行かない。
カメラ屋に戻り、これで
Y君も晴れてニコンユーザとなった。



さて、駅前でラーメンを食ったら、いよいよ本業の鉄に入る。まず門司港まで快速で向かう。

門司港発飯塚行き普通列車、今や日本ではここにしかない、客車普通列車だ。


 客車の旅


すでに夕闇に包まれた門司港に着くと、50系はすでにホームに止まって出発待ちであった。
すぐに乗り換えると、列車は筑豊に向かって走り出した。


 清潔な車内   名も知らぬ駅に止まった 


久々に乗る客車列車であるが、やはり静かだ。客車の旅情を感じる。

 小倉駅にて



小一時間ほどの旅で、飯塚駅に到着。夜汽車の味わいは格別である。

 飯塚駅   夜汽車 


 お疲れ   サボ


そして我々は、そのまま筑豊・篠栗線と経由して、今晩の宿泊地、博多へと戻った。


暮れの中洲は、大変にぎやかである。しかし我々の気持ちは晴れない。
そう。昼のパチンコの負けを引きずっているのだ。このままでは寝れん。そう考えた我々は、
リベンジに出ることにした。
ホテル近くのパーラーへ乱入。こんどはY君もパチンコ。二人で「おてスタ」を打つ。


……結局負け。この台回らなさすぎる。


もう心身共に完全にへこんだ我々は、近所の居酒屋でやけ酒を煽り、とっとと部屋に戻って
寝てしまった。





翌朝。5時に起床する。朝一で折尾に向かう。

 折尾駅


今日は月曜日。平日は、若松への1往復が運転される。折尾駅の筑豊本線ホームで、まずは
門司港行きを待った。
朝もやの中、DD51のヘッドライトが見えてきた。


 ・・・あれっ?


しかし、こっちに来ないで、なんか全然横の方に言ってしまった。
なんと鹿児島本線への直 通列車は、ちょっと離れたところにある専用のホームを通るため、
我々の立っている筑豊のホームは通らないのだ。なんか早起きも意味がなかった気がする。

しかしそれでめげてはいけない。すぐに平日のみの若松行きがやってくる。
今度は間違いなくこのホームに来る。



 こんどこそ




50系は、学生をごちゃまんと乗せてやってきた。ホームは一瞬で、制服であふれかえる。

 薄暗い朝


その列車にのって、我々も若松に向かう。車内には学生でいっぱい。
我々は最後尾のデッキで肩身の狭い思いだった。


 通学列車  学生ばかり


 
 デッキならではの眺め



若松でまた大量の学生を吐き出した50系は、側線に押し込められ、夕方までお休みである。


 若松駅  機回し


 ヘッド付け替え   連結を確認 


 一度出発  昼寝準備完了



 おやすみなさい



我々も夕方まで暇である。暇になると頭に浮かぶのはスロット。とりあえずギャンブルの街(?)
飯塚まで行ってみようと言うことになった。

しかし、飯塚の景色を車窓から眺めても、単なる住宅地にしか見えない。
ここに出る店はなさそうだと判断した我々は、そのまま通過してしまった。


長者原で降りる。ここは香椎線との交差駅だ。筆者は十数年前にもここで乗り換え、香椎に
行ったことがある。そのときの香椎は、わりと大きい街だったように記憶している。
よって、本日の勝負は、香椎と決めた。

駅を出て、昼飯を食う。Y君はどんちゃんに勝つべく、「カツ丼」だ。
筆者も豚カツ定食でげんを担ぐ。

そして向かいのスロット専門へいざ出陣。筆者は愛機(?)「タイムクロス」に最後の望みを託した。

千円でREGを引いた後、すぐにBIG。そしてその後BIG3回REG4回と連チャンした。
3回目のBIGが入ったときは、マジで目が潤んだ。


結局筆者は収支をプラスにできたが、Y君はまた「大花火」と共に帰らぬ人となった。一体
今回の旅行でいくら使ったんだろう、彼は。



さて、だいぶいい時間になった。これからまた折尾に向かう。
プレステの電GO!2に収録されているこの区間、ゲームで見慣れた景色を目に、列車は快走する。

折尾からは、ふたたび筑豊本線へ。若松方へ向かって走り、ロケハンをする。
そして開けた直線区間の先にカーブを描く駅で下車。香椎からの初乗りきっぷを精算して、
ホームを出る。


冬至も近いこの時期である。3時半でも薄暗い。ましてやあいにくの曇天。
写真的には厳しい条件だ。

カーブの曲がり鼻を目指して歩いていく。


と、空から天の恵みが。
こんな時に雨とは。まったくついていない。光量は下がる一方。
もはやこのカメラでは1/60秒が精一杯である。しかも風に煽られる傘を片手に持ちながらの撮影だ。
かなりつらいモノがあった。

 厳しい


 淋しい師走の空





とにかくシャッターを切り、駅に戻る。駅に着くころには雨も上がり、薄日すら差していた。
なんだか踏んだり蹴ったりである。

またたっぷりの学生を乗せてやってきたディーゼルカーに乗り、
折尾から博多へと戻っていった。

博多で夕飯として、ラーメンを食べた。このラーメン屋に入ってびっくり!
なんとカウンターが1席ごと仕切板でくぎられており、しかもカウンターとはのれんで仕切られている。
まるでテレクラかなにかのようだ。能書きには、「味集中システム」と書かれている。
他のお客を気にせずにラーメンを食えるというのだが、なにか不思議な雰囲気であった。


食事を済ませたら、いよいよ博多ともお別れである。
なにやら初っぱなから大波乱の旅行であったが、まあ無事写真も撮れたし、ヨシとしよう。
いつもは貧乏な旅ほど印象に残ると力説する筆者ではあるが、
今回ほど金を使うと、これまた印象に残る旅になってしまった。


 博多駅にいた旧塗装


ここに、今回の旅を象徴するデータがある。
ネオジオポケット版アルゼ王国「大花火」、設定6で最大ハマリ数750G……



00.12.21

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