消えゆく鉄道'03 その1

水島臨海鉄道・可部線

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最近鉄行動がめっきり少なくなっているが、それでも廃止になる路線を看過するわけには行かない。
広島の山中を走る可部線も、ずっと存続の危機に立たされていたわけだが、いよいよ今秋区間廃止になるとの報せを聞き、ようやく現地に赴く気力と機会がやっ てきた。

久々の西日本長距離行である。ついでに岡山の水島臨海鉄道の様子でも見ながら、夏のヒロシマを満喫しに出かけよう。

出発は8/13、AM10時だ。スケジュール的には、この日中に岡山まで行っておきたい。
Y君が我が家に到着。今回から新車にグレードアップ。快適で安全な取材が予想されよう。

名阪国道辺りまでは比較的順調に来たのだが、これまた新しくなったナビを過信しすぎて阪奈道路に乗れず。しかも折しもお盆シーズン。至る所で花火などを やっている。これにつかまり大幅に時間ロス。で今度は阪神高速の方向を間違える。700円ロス。そんなことをやっていたら、もう23時だ。場所は姫路を過 ぎたところ。結局当初の目的地、倉敷には、本日中に着けそうもない。

ということで、今日はこの辺りに泊地を得ることとした。ナビの画面には、播州赤穂の地名がちらほらと見える。ん?そういえばこの辺りに、金山の廃鉱があっ たような。翌朝はこの探検で決定。

Y君はあまり廃墟には興味がないようだ。なので単独潜入を試みる。折りからの雨で、足場が悪いが、廃トロッコの列にはかなりの感動を覚えた。


 森に埋もれる廃トロッコ




ここは当初の目的地ではないので、適当に切り上げ、更に西へ歩を進めよう。

赤穂の海沿いに走っていくと、片上町に着く。ここで国道2号線に戻れるのだが、片上といえば片上鉄道。特に用はなくても寄っておかねばなるまい。前回の訪 問からだいぶ経ち、駅舎も撤去されだいぶ遺構も減ったが、まだ雰囲気は残っている。

 片上の保存車両たち





ここも目的地ではないから先へ進む。途中下津井の車両が残っているドライブインに立ち寄り、見学。デジカメは何でも気軽に記録できるのでほんとに素晴らし い。

 下津井クハ6





さて、岡山に入ると倉敷までは立派なバイパスだ。倉敷市内でフィルムを買い、いざ水島を目指す。

水島は三菱自動車の街だ。走ってる車も三菱車が多いわけだが、こういうところに他メーカーの車で来るとちょっと気後れする。
それはともかく、ここ水島臨海鉄道に来た理由は、キハ20が国鉄色に戻って運用に入っているという話を聞いたからだ。
雨足はどんどん強くなってくるが、とりあえず列車を待つ。

しかし来るのは、新型車両ばかりだ。いつぞやの鹿島鉄道を思い出す。

 MRT300型




日中の列車はみなワンマンのようなので、キハ20は走らないだろう。ならば、三菱自工前のむこうにある車庫にいってみよう。
留置線に停まっているのは、とても美しく塗装されたキハ20たちだった。国鉄色だけでなく、水島色もある。とても大事にされている様子だ。

 キハ20   非常に美しい状態 



そして奥の方には、キハ10も留置されている。さすがにこれはくたびれているが、15年前の修学旅行で訪れた時と同じ雰囲気のままだった。

 あれも貴重なんだがなぁ



夕方になれば、増客対応でこれらが走るかと思い粘ってみた。時刻表からワンマンの字が無くなる、16時過ぎである。

しかし、結局来るのはみんな新型車だった。
残念だが時間だ。広島へ向かうことにしよう。



広島市は、終戦記念日前夜と言うことで、テレビ各社が取材に来ているようだ。ついでなので、平和祈念公園に立ち寄っていく事にする。中継のライトアップが とても美しい。不謹慎かもしれないが、原爆ドームも明るく照らされてとてもきれいだった。問題の千羽鶴も、厳重な警備とテレビの取材で囲まれていた。

 平和を祈る夜

ここまで来れば、目的地の可部線まであと少しだ。夜の山道を走って、宿営地とする加計に到着。コンビニで食料を買い、少し広島方に戻って、水内駅にて寝る こととした。







夜が明けた。心配した天気も良さそうだ。朝6時、駅の水道で顔を洗い、始発列車を待つ。
山間の駅の早朝は気持ちいい。非常に眠いが。

 水内駅   早朝の空

さて、いよいよ始動だ。まずは加計駅に行ってみよう。ここで時刻表を拝借。列車の時間を調べて、撮影に入る。
列車は加計駅を境に、三段峡までの区間と可部までの区間に分けられて運転されている。
よって、加計駅を中心にして移動するのが、効率よく撮影できる。


まずはひとつ広島方に戻ったところにある、香草駅に寄った。

 朝もやを行く   香草駅



次はk加計より少し北の方だ。田舎が凝縮されたレイアウトだ。


 田舎だ

そして、今度はまた下がって、香草のひとつ南側にある、津浪駅に行く。この先には鉄橋がある。
 津浪駅   太田川を渡る




そのまま太田川に沿って下降。川沿いに、使われなくなって久しい釣り橋が架かっている。もうぼろぼろだが、沿線のアクセントとなっている。この吊り橋、七 夕橋と言うそうだが、とても赴きある廃橋だ。なんか廃墟付いている旅である。
 桟橋を行く   廃吊橋









ここでちょっと時間が空く。この間に、一気に三段峡まで行ってしまおう。
三段峡駅は、可部線の終点で、名勝三段峡の入り口でもある。駅自体は小さいが、観光地横付けの駅というのはとてもいい雰囲気だ。

 三段峡駅   山間のむらへ





 

列車が来たら、それが折り返し発車する前に南に戻る。加計駅のすぐ北側にある鉄橋で待つことにする。

 隆盛な緑


その後は加計を中心に行ったり来たりしながら列車と会合していた。
 渓流を縫って走る  何度も川を渡る
 水遊びも涼しげ



何度も同じ道を往復しているので、ナビの軌跡も濃くなってきた。最終的に一旦加計駅に戻る。駅前には、京都ナンバーの70スープラが停まっている。筆者が 別の写真を撮りに行っている間 に、Y君がオーナーにつかまって世間話をしていた。意外にもオーナーは中年で、お盆の法事でやってきたらしい。彼によると、どうやら20000キロ記念碑 というのがあるそうだ。なんだそりゃ。国鉄でやってたチャレンジ20000キロの名残か?そんなものはパスだ。


 加計駅   懐かしい駅名標


 のどかな構内

加計駅構内には、車庫が建っている。今も使っているようで、レールは光っているが、天井には集塵煙突があったり、SL時代の遺産のようだ。
 車庫   煙突はSL時代の名残



加計での小休止の後、我々は今一度三段峡方へと動き始めた。
戸河内で、太田川を渡るシーンを撮影。この景色に立っていると、心の底から「日本の夏」を感じ取れる。


 夏空の元




今度は筒賀に来てみた。築堤に「ようこそつつがへ」の植え込みがされている。

 こちらは「またのおこしを」

1本撮ったあと、近くにある温泉に行ってみた。
「グリーンスパつつが」というこの施設、山の上にあり、しかも最上階が展望風呂になっている。可部線が一望でき、なかなかの眺めだ。さすがにカメラを持っ て入るわけにはいかないが。

もう一度さっきの撮影場所に戻って、光線的に、とりあえず撮影は終了。

 山村の夕暮れ




・・・と思ったら、Y君がまだ記念碑がどうとかほざいている。よほど興味を引かれているらしい。
そのおじさんが書いてくれたメモを見て・・・さっぱりわからんぞ・・・とにかくそれらしいところに向かった。



その碑は町並みのすき間を入った空間にひっそりと存在したが、案外労することなく発見できた。
近くにある説明文を読むと・・・国鉄が鉄道を建設し続けて、ちょうど累積20,000キロに到達したのがこの地点なんだそうだ。これは確かに興味深い。却 下しないで良かった。

 これがそうか・・・   説明版


すでにヒグラシも盛大に鳴き、露出で言えば1/8秒ぐらいしか切れなくなってきた。
この辺でお開きとしよう。

 実は歴史ある路線



車へ戻ろうと、その石碑のある林から町道へ出た。
すると、地元の家族が5〜6人、立ち話しながら缶ビールを飲んでいる。林から出てきた我々に声を掛けてくれた。
妙に明るい家族であったが、やはり可部線の廃止は淋しそうだった。
農家が多く、老人といえどもクルマで移動しているこの社会では、例え鉄道が無くなっても、大きく困ることはないだろう。とはいえ、鉄道があるということ は、言葉にはできない安心感があることも確かだ。逆に言えば、鉄道が消えてしまったら、世の中から忘れられてしまうのではないか・・・もちろんそんなこと は実際に有りはしないが、

身近な線路がいつしか無くなったら…

幸運にも日本を代表する大動脈の近くに住む筆者には、俄には想像できない話であった。


04.3.28

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