消えゆく鉄道'05 その3

福井鉄道・富山港線

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2005年度になってから初めてとなる今回の探訪、いくつかの候補地の中から、富山港線を選ぶことにした。
来年4月にはLRTとなって生まれ変わるので、実質廃線ではないが、JRとしての姿を最後に見ておきたい。
5月2日、自宅を出発。
しかしこの時点ではまだ今回の旅のルートが決まっていなかった。
ついでに回る路線をどこにするか、という問題だ。
現時点の候補としては、豊橋鉄道、福井鉄道がある。
どちらも先の名鉄600V線廃止により電車が委譲される先だ。
今回の取材行は、おりしもゴールデンウィーク、各所でそれなりの渋滞が予想される。
ならば、その影響が最も少ないと思われるルートを取ることにしよう。

豊橋→福井→富山と、行程は決定、車を西へと進めた。

ただし、出発時点ですでに13時。豊橋にはどんなに早くても日没直前にしか着けない。
豊橋はそれでも近いほうなので、今度正式に来ることにし、今回は寄り道程度で切り上げた。

 次回に期待



車は岐阜市内に入った。
せっかくなので、600V線の廃線跡を走り回って様子をうかがう。といっても時間はすでに22時。
こんなことに時間を食っていては、何時に着くかわからない。
早く高速に乗って一気に目的地に着きたいところだ。
西濃鉄道なんかに誘惑されつつもなんとか北陸道に突入。武生インターを目指した。


 なつかしの徹明町




武生の街には、1時半頃の到着だった。
酒を買い、北陸道のガード内に車を停めて寝る事にした。
これが意外と正解で、朝の直射日光が無く快適である。


夜が遅かったのでちょっと朝寝坊し、フィルムも買いそびれていたのでカメラ屋を探して購入し、
本格的に探訪を開始したのは10時すぎだった。


武生新駅には、電車が何本か止まっている。
福鉄を訪れたのは、名鉄電車の導入により、古い電車が順次廃止されてしまうという理由からだ。
駅にも古めかしいクリーム色の電車が止まっている。これは果たして走るんだろうか?


 武生新駅  ホームを伺う 



とりあえず隣の西武生駅に向かった。

いきなり驚くようなシチュエーション。


こんな味のある駅がいきなり現れてしまうと、一気にテンションも上がる。
フィルムの消費速度も速くなってしまう。

 西武生駅舎   休日の朝


 古株は休み中  大きな踏切  



つづいて家久駅。ここも味わいがある駅だ。

 模型のワンシーンのよう


 静かなホーム   休校日  


 駅近くの鉄橋






 上鯖江には変電所  随一の繁華街、西鯖江

上鯖江、西鯖江と市街地の駅を過ぎていく。
今日はなにやらつつじ祭りなるものがあるようだ。市街地の道路がかなり規制されている。
それを抜けようと裏道に入ったら、奥の奥で通行止めになってたり。
こんなの入り口に書いとけよと文句を言いながら、ようやく西山公園駅にたどり着いた。

 西山公園駅

普段は無人駅であるこの駅も、お祭りの今日は駅員がいる。
そして公園を訪れるたくさんのお客を降ろしていた。

 花に埋もれて


中道院という寺院のわきに陸橋がかかっているが、このあたりもつつじが咲き乱れていた。

 花道




のどかな住宅街の中を線路は進んでいく。我々も線路に沿って車を進める。
どの駅でもだいたい人の乗り降りがあるようだ。結構活気を感じる路線でもある。

 水落駅   名物雪よけをくぐる


 ハセキョンおはよう



車を順次福井方面に進めながら、バラエティに富む電車たちを写していく。


 空も青く   静かな駅


 浅水駅   どこも花盛り



浅水川を渡ると、景色ががらっと変わって、一面の田園地帯になる。
水田はちょうど田植えの時期で、鏡のようである。一年で一番好きな景色かもしれない。


 水鏡の季節

300形電車がやってきた。これは静岡鉄道から転入した電車だ。
こんな遠くの地で出会うと、なんというか海外旅行で日本人に会ったような、そんな感じがする。

 元静鉄300形




さて、どの駅も味わい深くて良いのだが、あんまりのんびりしていても終点まで取材できなくなってしまう。
少々急ぐことにする。


我々は市街区間にやってきた。
木田四ツ辻という電停付近の駐車場に車を停め、ここから徒歩で進むことにした。
この木田交差点から先は、併用軌道区間となる。
普通のサイズの大きな電車が道路を走る姿は、なかなかの圧巻だ。




 堂々と車道を行く  ステップ付


路肩で電車を待っていると、地元のおじさんに声を掛けられた。
おじさんは電車には興味ないものの、写真はやるそうで、いろいろと話をし、
本命の電車が来るまでの丁度いい時間つぶしになった。


ぼちぼちと歩きながら、やってくる電車を撮る、と言った感じで、我々は幸橋までやってきた。
現在橋は架け替え工事中で、ここだけ線路が道路を外れて専用の仮設橋を渡る。
急カーブでクランク状になった鉄橋を渡るのも物々しい。

 元名古屋地下鉄モハ610


そのすぐ先が、大名町という交差点だ。ここで線路が分岐し、福井駅前まで続いている。
橋からやってきた列車は一旦ここを直進して田原町まで行き、武生新行きとして戻ってくる途中に、
一旦福井駅前に立ち寄る、といった動きをする。
この分岐駅である市役所前電停では、スイッチバックをしたりとなかなか複雑で、
ここで分岐していることすら知らない下調べレスな我々には、その行動パターンを理解するのに
少々時間がかかってしまった。ちなみに、市役所前という駅は全国に10もあるらしく、
日本で最も多い駅名だそうだ。

 市街地   交差点を渡る


 福井駅に突っ込む   反射光を浴びて


 すれ違い


16時を過ぎると、日もだいぶ傾いてきたが、列車はにぎやかになる時間帯だ。
急行電車が走り始めるためである。
そのため、日中は走っていなかった電車もお目見えする。
そのうちの一つ、モハ80形に乗って駐車場まで戻ることにした。
これは大正生まれの電車であり、この鉄道の最古参だ。

 モハ80形登場   にぎわってきた


 乗車   アンティーク

列車は順調に進んでいく。・・・ってあれ?公園口電停を勢いよく通過していきますが・・・。
そのまま木田四ツ辻も通過してしまったことは想像に難くない。
結局福井新まで連れて行かれてしまった。


 木田四ツ辻を行く



改札で料金を払って降り、車まで徒歩で戻ったら、元名古屋地下鉄のモハ610がやってきた。
このあとAIGの広告電車が来たら、次は旧色がやってくるはずだ。
こんな感じで、電車が一巡すれば、その広告さえ覚えておけば次に来る電車が
何かも簡単に判って、便利ではある。

ということで、日没時間となったが、最後の最後にモハ100系を撮影して、
福井鉄道の取材は終了となった。



 夕陽の中






そのまま我々は8号線を進み、富山へ向かう。
富山では風呂に入りたいが、最初に寄った銭湯は時間切れ。
仕方なくビジネスホテルを回るがどこも満室。これはやばい。
ナビで必死に風呂を探すと、もう一件見つかった。これでダメなら明日の朝入ろうと思ったが、
運良く営業中。きれいさっぱりとし、近くの居酒屋に立ち寄り、そのまま車中泊となった。


翌朝も涼しい目覚めだった。やはり眠気には勝てず、8時起床の現着9時である。
ちょうどぎりぎり、朝の475系には間に合ったようだ。まずは奥大井駅でちょっと撮影。

 奥大井駅


 向こうにも電車が



その後、城川原駅に移動する。
ここはかつて電車庫もあった駅だが、今は広めの構内が残るのみの無人駅だ。
しかし、朝のラッシュダイヤでは、ここで上下列車が離合する。ちょうどキハ120との交代の時間だ。

 城川原駅   主役交代  



下り方向に走りながら、各駅に立ち寄り撮影していく。
どの駅もローカル色あふれていて、味わい深い。
いくつかの駅は、昔からの建物のままだったりする。


そうこうしているうちに、もう終点岩瀬浜に着いてしまった。わずか8キロの路線である。


 岩瀬浜   終点である


 富山といえばこの花




岩瀬浜駅の手前で、線路は運河を渡る。ここで撮影する。


 運河

さて、お昼になったが、フィルムの残弾数が心許なくなってきた。デジカメのメモリも無いままだ。
ここで一旦市内に出て、カメラ店を探すことにした。
途中、富山口駅に立ち寄った。ちょうど列車の時間でもある。

 富山口駅  富山駅へ進入 


そしてそのまま、北陸本線の様子もうかがうことにした。419系が引き上げられてきて、
すぐ近くに止まっていたので撮影。この電車もいつまで走っていることか・・・

 食パン電車


カメラ店を探すのには少々苦労した。メモリカードが在庫切れだったりで、2件ほど周り、
再び富山港線に戻ってきたのは1時過ぎであった。
こんどはデジカメで駅を記録しながら、再び下っていく。で、また岩瀬浜。遅い昼食をここで取る。
近所のサークルKでカップラーメンを買い、駅の中で食す。
そしていい時間となった。今度もさきほどの運河で、今回は立山連峰をバックに撮影。


 残雪を望む


そして、富山競輪場にやってきた。実は朝もトイレに寄るために立ち寄ったのだが、
その隙にY君が車券を買ってやがった。結果を見たいというので、再度立ち寄ることに。

大垣競輪の場外発売だったが、競輪場はそこそこのにぎわいだった。
伊東の開催日よりにぎやかかもしれない。

 競輪場前駅

Y君は結局外していたようだが、あらためてもう1レース。筆者も購入。
レースが始まった。しかし実は発走から一分後に、競輪場前駅に下り列車が到着する。
せっかくだからこれを撮りたい。レーススタートしたのをみて駅まで駆けていき、列車を撮影。

   乗り降りはやはり多い

撮り終わったらすかさず場内へ戻る。丁度ゴールの瞬間だ。
・・・あえなく撃沈。まあオッズだけで選んだのだからそうそう当たるものではない。


その後は二つ駅を戻って蓮町駅。
かつてはここには広大なヤードがあり、ここから富山貨物駅までを短絡する貨物線も分岐していた。
今は住宅が建て込んでいる小さな駅だが、駅舎の風格に当時の繁栄を偲ぶことが出来る。
その旧貨物線跡に立ち、キハ120を迎えた。



 蓮町駅


 貨物は遠い昔



我々は大広田駅にやってきた。この隣、東岩瀬駅との駅間は、わずか450m。
JRでもっとも短い駅間距離だ。
実際にホームに立ってみると、隣の駅で乗客が乗り降りしてるのが見えるほどだ。
今回は鉄道日本一に二つも触れてしまった。



 東岩瀬はすぐそこ   逆に大広田を望む





さて、ここで列車を待っている間、駅前道路のカーブに気がついた。
どうやらこれは廃線跡らしい。

 大広田駅

ちょっとたどってみた。あまり期待したような痕跡は見あたらなかったが、
ここが丁度富山港の埠頭へ向かう玄関口だったようである。
他にもほとんどの駅で貨物線が分岐していたようだ。臨港線の性格をよく表している。
しかしいつものごとく下調べをそんなにしてないので、そういうことを知るのは、
たいがい帰ってからである。

 遊歩道が線路跡




さて、17時も近く、日もだいぶ傾いてきた。
475系も夕方のおつとめに入ってきたが、ISO100を入れてしまったので、もうこの辺が撮影の限界だ。
沿線で唯一田んぼが開けている土地に行き、撮影。

 再び登場


そして最後に、富山口の近く、赤江川を渡る鉄橋で撮影。
LRT化の際は、この赤江川橋梁の下り方すぐの市道から現富山港線に乗り入れる。
つまりこの鉄橋より富山方は、廃線となるわけだ。

 赤江川


気持ちのよい5月の夕暮れを駆け抜けていくキハ120を見送り、今回の取材は終了した。
福鉄も富山港線も、いままでごく近くまでは何回か訪れているくせに、立ち寄るのは今回が初めてだった。どちらもよいシーナリーをこの時代までよく残してい る。その時に立ち寄ればよかったとも思うが、その時はその時で他を訪れる予定で時間が割けなかったのだから仕方がない。とりあえず、この貴重な風景が無く なってしまう前に堪能することが出来たので、ヨシとしよう。

06.3.25

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