消えゆく鉄道'95 その2

函館本線

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さて、ここから先は市街地に近いので、追っかけは無理だ。だが、一応小樽駅へと向かう。

小樽駅はすでにもぬけの空だ。列車はいない。しかしここで諦めてはいけない。我々は小樽築港駅に向かった。そう、「回送列車」である。

C62と旧客は小樽からは別々に回送される。C62自体は無火で回送されるから、大しておもしろくないが、客車の方はこれがなかなかよい。DE10の牽引は、往年の久大本線でも思い出させてくれる。築港駅東のトンネル上から、夕日に染まる回送列車をねらった。

回送列車

さあ、これで北海道での用事は全て終了。今朝着いたばかりだが、もう帰りのフェリーに乗らなければならない。帰りは東日本フェリーを取ってあるので、岩内からだ。5号線をまた戻る。

 そして岩内フェリーターミナルで見たもの。それは、

「欠航」

の2文字であった。折しも台風が接近しており、日本海は大荒れだという。おい〜、こんな最果ての地で、どーすんだよー……

と、途方にくれていても仕方がない。あさってには普通どおり出勤しなければならないのだ。

とりあえず、船に乗るには、函館へ行くしかない。日本海側に沿って、函館へと向かった。しかしここで、大きなミスをした。給油をしていなかったのである。道中この時間にやってるスタンドなどあるわけがない。このときほど燃費の悪いこの車を恨んだことはない。スピードを60kmに固定、夜間であることもあり、出来るだけ停止・加速をしないように気を使いながら、やっとの思いで函館に到着したときは、涙が出るほどうれしかった。

 台風が来ていることもあり、船が動いているかどうかが心配だったが、どうやら大丈夫のようだ。深夜0時出航の便に乗ることが出来た。

 翌朝4時に青森に着いてからは、また一般道をしこしこと走る。しかし、ずっと下では、体力的にも時間的にもつらいので、花巻インターから東北道に乗った。ここで、驚異の燃費10km/lを叩き出すという快挙を成し遂げることに成功した。この車でこんな燃費を出すあたり、さすが貧乏で名の通った平井堂鉄調班である。

無事帰社したのは、まだ少し明るい18時頃であった。とにかく車が車だけに、非常に疲れた取材ではあったが、無理してでも撮影に行った甲斐があったと思わせるほど、C62は魅力的だった。旧客とのコンビ復活はもうあり得ないが、またいつか本線を走る姿を見てみたいものだ。

97.7.7

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