消えゆく鉄道'97 その1

南部縦貫鉄道・岩手開発鉄道

<< 表紙

 3月22日夜、我々は昨年に引き続き、東北遠征に出発した。今回のターゲットは、言わずとしれた南部縦貫鉄道、最後の機械式レールバスである。過去北海道へ向かう際、何度も沿線を通過したものの、じっくり立ち寄るのはこれが初めてとなる。

 車は快調に北へ進む。いつもの通り、横新→三京→首都高めいっぱい乗って三郷へ→6号のパターンだ。貧乏人にはこれが精一杯の有料道路であるのが悲しい。

 仙台についた。ここから先は、どういうルートをとるか・・・4号線を上がるのも飽きたし、時間もあるから、いっちょ三陸回りで行ってみるか!ということになり、松島を通り、一路三陸路へ。

 もちろん、リアス式海岸が見たくてこっちに来たわけではない。鉄な我々には、一つの目標があった。岩手開発鉄道である。現在は旅客営業をしてはいないが、貨物列車はかなり盛大に走っている、貴重な路線でもある。

 盛駅でしばらくうろうろし、写真を撮る。大船渡線と三陸鉄道、そして岩手開発が交わる駅なので、それなりに広い。8年前に来たときと、裏側にロータリができた以外はそう変わっていないようだ。構内にはかつて旅客用に使われていたディーゼル車が一両、ぽつんと置かれていた。

盛駅構内
元旅客用気動車

 駅にいてもなんにも来ないので、とりあえず線路沿いに走ってみることにした。で、途中の長安寺駅へ寄り道。駅の回りをへろへろしていると、突然踏切が!あわててカメラを準備する。盛方からブルーの機関車と、長い貨車の編成がやってきた。われわれはグッドタイミングで、貨物列車を撮影することができた。長安寺駅には交換施設があるため、貨物列車はここで上り貨物と交換し、さらに山へ登っていった。

下り貨物列車
上りと交換

 ここに長居するわけにも行かないので、早々に退却、真の目的地、七戸を目指して走る。45号線はアップダウンがあるものの、信号もなく、しかもすいているので、飛ばしたい放題だ。時間によっては、4号線より早いかも。

 そんなわけで、七戸には0時頃には到着できた。沿線を少しうろうろしたあと、天間林駅前で一泊。翌朝一番の列車に備える。

 …目が覚めたのは、「がーっ」というエンジン音だった。「何!?」あわてて車から降りると、レールバスが去っていく姿が見える。「しまった!寝過ごした…」しかし冷静に時計を見ると、まだ始発の来る10分前である。よくわからないが、一応線路際で撮影準備をして待つことにした。

 で、10分後、確かに始発は来た。さっきのは、なんだったんだろう?

これが本物(?)の始発

 その後は沿線をうろうろしながら撮影を続けた。さすがに鉄ちゃんが多い。沿線のどこに行ってもいる。しかし、これだけいても、誰の写真にも一人として写らないのが、不思議といえば不思議だ。

 坪駅で撮影を行う。ここでひとりの鉄ちゃんから、情報をもらう。どうやら臨時列車が運転されているらしい。正規ダイヤの十分前後に一本と、普段の倍近い運行量だ。朝の始発前のやつも、臨時列車だったようだ。しかし、この臨時、途中駅には止まらないので、駅での撮影時には注意が必要だ。止まると思っていたら猛スピードで目の前を駆け抜けられ、ヒヤッとした。

坪駅に進入
右は防雪柵

 坪駅には、駅長がいた。写真を撮らせてもらった。

駅長。

 坪川駅の反対側に土手があり、お立ち台になっている。我々も「お立ち台」と聞いては登らずにいられない。早速車を回した。しかし、登り口の手前は、雪解けでぐちゃぐちゃ。えらい目にあってしまった。

 お立ち台から

 千曳付近の踏切で撮影をする。このときYは、線路との間合いを誤り、思い切り警笛を鳴らされてしまった。運転手さんゴメンナサイ。

Y君警笛鳴らされ中

 レールバスは、鉄ちゃんをごちゃまんと乗せてがんばっていた。廃止までの数ヶ月、クラッチ板は鬼のように減ったことだろう。

発進できるのだろうか…?

 辺りもだいぶくらくなってきた。そろそろお開きというところか。最後は七戸駅で発車シーンを撮り、南部縦貫鉄道の取材を完了した。「よくぞ今まで残った」といいたいほど、ローカル色をよく残していた鉄道だけに、休止はとても残念である。実は南部には、行こうとして計画しながら断念したことが過去2回あった。今回初めて本格的に訪れることができたわけだが、取材を終えて、「もっと早く来れれば…」という念に強くかられてしまった。

七戸駅
機械式の運転台も魅力だ
乗り込んで…
出発!

98.5.4

<< 表紙

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送