消えゆく鉄道'98 その1

下北交通・弘南鉄道黒石線・津軽鉄道

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 今年も我々は、東北路へ向かうこととなった。3年連続となる今回の東北行きの目的は、3月一杯で廃止となる、弘南鉄道黒石線である。ついでに廃止の噂もある、下北交通も訪れようという腹である。そのようなわけで、3月7日、我々は一路青森県を目指した。

 最初の難関は、うちから十数km走ったところでやってきた。いきなり箱根から大雪である。普段と全く景色が違う。ここからこんな状態では、先が思いやられる。

 そこから東京までは、みぞれ混じりの中を突き進む。去年と同じ、おなじみの首都高を通って6号へ抜けるルートだ。経験的には、4号よりも6号のほうが空いているようである。よって今回も常磐道を北上する。

 車は仙台を抜けるが、ここから盛岡までが、景色の変化も乏しく、距離的にもかなりあるので、非常につらい道のりである。さすがに今回は、本州の最北端まで明るいうちに行こうという考えでは、下を使っていたのではとうてい間に合わない。よって途中区間を、高速を使うこととした。サービスエリアでハイカを購入。我々にとっては大盤振る舞いの10000円券だ。ちょっとリッチな気分である。 東北道を滝沢で降り、再び4号の人となる。途中南部縦貫の線路跡を見ながら、下北への分かれ道となる野辺地に着いたのは14時ごろであった。相手がローカル線だけに、一本の撮り逃がしは非常に大きい。しかも日の短い冬とあってのことだ。我々はかなり焦りを感じて、アップダウンの続く279号線を、最初の目的地、下北交通めざして爆進した。

 大湊のすこし手前で、15時8分となってしまった。大畑行きの列車が出発する時間だ。残念ながらその1本はあきらめ、ロケハンを開始。とりあえず大畑駅まで行ってみる。

 そこには、ここ下北交通の主力(といってもこれしかない)である、国鉄キハ22をそのまま使用した、キハ85がぽつんと止まっていた。

キハ85といっても「ひだ」ではない
淋しい線路だ

 そこから、よいポイントを探しながら、上り方向に戻っていく。途中、恐山をバックに、ススキ野原を走る場所を発見し、そこで粘ることとした。

逆光のススキ野原を行く

 Y君は初のデジビデ鉄ちゃんを行う記念すべき場所でもある。しかし、近所の犬がうるさい。ビデオにとって、犬は大敵だ。

 次に、林の中の部落にある、樺山駅に移動。林の中にある良い雰囲気の駅だ。

駅のシンボルの木とともに

 時間的にはここでもう1本撮ったら、もう終わりだ。たった2本しか取れないのはさみしい気もするが、車両も路線も単調だから、こんなもんでよいだろう。 撮影を終えたら、今来た道を七戸まで戻る。そこから八甲田山の南麓を、弘前へ抜けるのだ。かくして我々は、麓で怪しいラーメンを食べたあと、いざ山越えへ挑む。

 おー、対向車も来なくて、快調だ!と進むこと30分、我々の行く手を大雪がふさいでいた。なんと未除雪で通行止めである。がっくり。そりゃ対向車来ないわけだ。  仕方がないので、山を下りて、こんどは十和田湖畔から抜けるルートを進む。かなりのワインディングだ。運転のY君もかなりつらそうだ。私はすでに睡魔により意識を飛ばしていた。  しかし!峠の頂上手前でまたもや通行止め!我々の持っていきようのない怒りは、どこにも向けることができなかった。私はもうここから先の意識はない。Y君によれば、いったん小坂まで降りてから、再度北上したそうだ。冬の東北の山越えは要注意という教訓であった。  

 どうにか弘南鉄道に着いた。すでに1時を回っている。すぐに設営し、就寝。  

 翌朝、早速行動である。我々の宿営地は、弘南鉄道と言っても大鰐線の方だった。よって、本命の黒石線へ向かう。  川辺駅からロケハンしながら黒石駅へ進むが、めぼしいポイントはない。とりあえず、途中の前田屋敷駅で列車を待つこととした。  数分後、見憶えのある気動車がやってきた。元小坂鉄道のキハ1000だ。日車独特の窓の大きい開放的なスタイルは、雪の中では少し寒そうにも見える。  

キハ1000。
日車独特の窓とドア。

 黒石駅や沿線をうろうろと撮影する。黒石駅には、予備車として存在するキハ22が、吹雪の中にたたずんでいた。

もう出番はないのか
黒石の改札も雰囲気だ

 しかし、ここは下北交通以上に単調な路線だ。雪もすごいし、昼すぎにはちょっと飽きてきてしまった。

吹雪も強くなってきた

 そこで、我々は、津軽鉄道まで足を延ばすこととした。

 黒石から20キロほどだから、すぐである。 もちろんメインはストーブ列車だ。適当に走って着いた、加瀬駅で列車を待つ。黒石とはうって変わって、良い天気だ。

 踏切がなった。さあ来たぞ!車を降りる。  「さみーーーっ!!」  ものすごい風である。すでに3月ということもあり、軽装備できた我々には、相当こたえた。天気の良さにだまされた。しかし客車の色合いといい、中国かどっかの鉄道のような雰囲気さえある。

ストーブ列車
まるで中国だ

 とにかく取り終えて、車に駆け込む。あまりの寒さに、もう慎吾ペイントなんか撮ってる気にはならなかった。

とか言いながらしっかり撮っている

 ストーブ列車ももう来ないので、黒石線に舞い戻る。なぜかとても良い天気になっていた。

行く前はこんなだったのが…
こんなだ。

 リンゴ畑や雪原で数カット撮ったところで、日が暮れた。撮影終了だ。

お岩木山をバックに
リンゴ畑をゆく

 帰り道はまたすごかった。なにせ282号線では、凍結のため2回も交差点をオーバーランしてしまったのだから(電GO!ならば255点減点くらい)。

 行きに買ったハイカを使い切るべく、常磐道経由で快調に帰宅の途に着いた。しかし、自宅に着いたのは夜中。早い時間に東京を通ると、つい秋葉原に寄ってしまう、我々の悲しいサガであった。

98.10.4

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