消えゆく鉄道'99 その6

有田鉄道・紀州鉄道・紀勢本線  前編

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 8月12日。九州四国地方を中心に、依然として大雨が続いている。これから出発する我々に一抹の不安を抱かせながら、我々は出発の時刻を迎えた。目指すは、紀伊半島だ。

 夕刻19時ごろに、平井堂本社を出発。ただし、途中、パソコンショップやらゲームセンターやら、やたらと寄り道をする。

 この寄り道にだって、立派な意味があるのだ。

 その意味とは、時間調整である。何の調整かと言うと、これから通過する、藤枝バイパスの夜間通過を狙うためだ。

 藤枝バイパスをはじめ、県内の4バイパスは、今年になってから、夜間通行料金が無料になったのだ。昼間行けばトータルで1000円以上かかる通行料金がただになるのだから、これを利用しない手はない。

 しかし、逆にいえば、あまり早い時間にそこを通ることができない。つまり、必然的に明け方までの徹夜運行を強いられることになる。

 今回もその例に漏れず、夜を徹してひた走ることとなった。ルートはいつものとおり、23号から名阪国道へ抜けるルートだ。そして奈良から直接和歌山を目指す。第一の目的地は、紀州鉄道だ。

 朝5時ごろ、眠気にたまらずダウンしたが、7時ごろに再び行動を再開。山間の道路をくねくねと走る。

 途中、野上電鉄の痕跡を見ることができた。

旧北山駅か?

 そのまま山を走っていくと、地図に「金屋口」の地名が。

 そう、有田鉄道の終点だ。せっかく通るのだから、これを取材しない手はない。

 金屋口で出発を待っているレールバスを撮る。

 金屋口のLE-Car

 今度はこいつが線路を走ってるところを撮ろうと、車を走らせた。

 そして着いた撮影地は、県立高校の真ん前、下津野駅だ。かつては交換可能駅であったこの駅には、長いホームと、腕木式信号機が残っていた。

信号機は使われていない  下津野駅

 平日の朝なら、学生でにぎわうであろうこの駅も、夏休みともなれば学校ともどもひっそりしている。

人気のない学校を背に  ミカン畑の間を行く

 小一時間ほどの撮影を終える。有田鉄道はは当初の目的地ではないため、早々に立ち去る。目指すは御坊市、紀州鉄道だ。

 藤並からはものの1時間もあればつく距離だ。昼前にはすでに御坊駅に着いて、時刻を調べていた。

 ここ紀州鉄道は、その雰囲気とは裏腹に意外と列車本数が多い。よって本格的な撮影は昼過ぎからとし、まずは終点西御坊付近で食料調達と相成った。

まずはご挨拶

 その前に、西御坊から、かつて伸びていた旧線跡を見に行った。以前はこの西御坊から数百メートル先まで線路があり、そこに日高川という駅が存在した。

なんと線路が…

 驚くべきことに、日高川駅構内も含めて、旧線跡にはほとんどレールが残っていた。まるでいつか復活を狙っているかのようでもあった。

いまだ日高川までつながる線路

 西御坊は、大型ショッピング店が2つもあり、活況を呈している町である。

 我々もその一つに入り、昼飯を調達する。Y君はネギトロ巻きだ。なんか新潟行き以来、すっかりスーパーグルメづいている彼であった。

 余談であるが、こういうスーパーにつきものの、屋上ゲームセンターで少し腹ごなししたのだが、ここにはアストロ筐体に収まったDDRや、かつては駄菓子屋の軒先で腕を競った「山のぼりゲーム」など、マニヤ心をつかんで離さないアミューズメントたちがあったことを報告しておこう。

 さて、ようやく本線に戻る。まずは沿線で唯一開けている、御坊−学問間で撮影を開始した。というか、ほとんどここでの撮影に終始した。

もと大分交通のキハ604

 この区間は、両側が田んぼで開けている上、線路も草ボーボーで、ローカルさが滲み出ている好ポイントだ。レンズも望遠系から広角系まで、さまざまな長さで遊ぶことができる。

草に埋もれてても現役  どこ渡ってんだ、少年

盛夏を感じる  窓はいつも全開

用水路を渡る

 草ボーボーというか、草の中を汽車が走っていると言う感じだ。あたりの草は、列車の形どおりに刈られているようなものだった。

草の中から  台車の形に刈り込まれている

 結局列車が一段落する15時ごろまでこの辺にいた。

 さすがにもう少し別のアングルがほしくなり、途中の車庫がある紀伊御坊駅へ立ち寄った。ここには、機械式気動車であるキハ605が留置されている。いまや貴重な存在なだけに、何とか保存してほしいものだ。

キハ605の脇を行く  料金表には「日高川」の字も

 そして我々は、終点の西御坊をうろつくことにした。

西御坊駅は住宅地の中  シャボン玉あそび中

商店街を横切って出発

 西御坊駅は、なんか思いっきり傾いており、果たしてこの駅舎のままいつまで持つかさえ不安だった。

人はいる様子

 この西御坊から、かつて引込み線が出ていたようだ。近所の紡績工場へ向かう線路を少し歩いてみた。

 さて、日もだいぶ傾いてきた。そろそろ本日の撮影も終盤だ。最後は例の田んぼでラストショット。そして我々は、ふたたび紀伊山脈を越えるべく、東へと戻るのだった。

シルエット  薄闇せまる

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