消えゆく鉄道'99 その6

有田鉄道・紀州鉄道・紀勢本線   後編

<< 前編へもどる

表紙 >>

 御坊から次の目的地、紀伊長島へ向かうのには、意外と距離がある。

 今回我々は、山中越えルートを選択したが、これまでの寝不足もあり、予想以上につらい道のりだった。

 撮影予定地に入ったのは、1時前後だったように記憶している。Y君はビールを飲みたがっていたが、この時間では自販機はだめだし、コンビニは最寄で10km先だ。仕方なくお茶で我慢し、近所の空き地で寝る。

 大変快適な睡眠を過ごした。山間であることもあって、すごく涼しかったのだ。加えて寝不足の補完をするかのごとき深い睡眠。この夏一番の快眠であったと言えよう。

 朝はキハ58のエンジン音で目が覚めた。これも贅沢な起床だと思う。

 そして、朝一のビッグイベント、DD51重連貨物を狙う。ここは名物のS字カーブ。日も昇ってきた。期待度もあがる。

 ……。待てども待てども、貨物は来ない。

…これは違う

 「南紀」や、キハ58が通過していったが、目的の貨物は結局来なかった。

同地点を行くキハ58

 一応情報誌の時間を見て、待っていたのだが…期待が大きかっただけに、残念度も計り知れない。

 とはいうものの、ここでめげてるわけには行かない。もう一つの主役、キハ58を追い回す仕事が待っている。

 まずは、伊勢柏崎駅へと行ってみる。時刻を調べるためだ。撮影に行くのに、「時刻表」を持っていかない鉄チャンも、我々ぐらいのものだろう。

 時刻を見ると、10時頃に1本列車がある他は、あとは昼過ぎだ。今の時刻は9時前。ならば、と、我々は紀伊長島の南側まで行ってみた。

 三野瀬駅でもう一度時刻を調べる。やはり列車は昼過ぎからだ。しばらくこの駅の木陰で、メールの処理やWEB閲覧をしていた。まったく何してるんだか・・・

 さて、時間もいい頃合いになってきた。我々は、三野瀬のとなり、船津駅の近くまで駒を進めた。

 大きなカーブが見える。ここで列車を待つこととしよう。まずは、下り列車が通過する。

濃い影を落としている

 そして今度は、上りがすぐにやってくるはずだ。

 ……あれー?待てども待てども、列車は来ない。やはり「南紀」が、我々の前を通過していく。

 「なんかダイヤがおかしいな?」

 そんな雰囲気が立ちこめる中、船津駅で再度時刻表をチェックする。先ほどの調べた結果と、何ら相違点はない。

 疑念を抱きながらも、今度は船津駅の上り方にある鉄橋で、列車を待つ。

…あれ?

 ……かれこれ1時間ほど待っただろうか?また「南紀」が通過していく。これが来てしまっては、やはり我々の持っているダイヤは狂っているとしか言いようがない。

 「まさか台風の影響か?」

 そんな不安がよぎる。

 とりあえず、紀伊長島に行って、そういう情報がないか調べてみようと言う意見が出た。しかし、時刻は14時すぎ。万が一持っているダイヤが正確だとしたら、あと十数分で上り列車が来る。ならば、こいつが時刻通り来るかどうかで、判断しよう、ということになった。

……

 ……336D、定刻の通過であった。

 いったいどうなってるのか訳が分からず、続けてくるはずの下り列車を待った。こちらも時刻通り。

築堤を上がってきた

 ここで、我々はダイヤは狂っていないと結論を出した。だが次に列車が来るのは17時ごろ。なんか今更おせーよ、って感じだが、とりあえず帰路につきながら、時刻のあったところで撮影をしていくこととし、我々は多気方面に向かって戻っていった。

 あとで調べてわかったことだが、我々はどうも季節列車の時刻を見ていたようだ。そりゃ待っても来るわけ無いというものだ。しかし、駅の時刻表には、「季節列車」の表示がいっさい無かったことは、我々の名誉のためにも明言しておこう。そういわれてみれば、なんか時刻の横にシールを剥がしたような痕があったような…誰かのいたずらを恨んでも、結局は事前情報不足の我々が悪いのではあるが。

 

 ちょうど阿曽の辺りで、列車とすれ違う時間となった。このあたりは、大内山川の清流に沿って走る、車窓からの眺めも良いところだ。

もうすっかりおなじみ「南紀」

 水遊びをしている家族たちの上を、列車が通過していった。

涼しげな一コマ
  緑の中を行く

 さて、撮影が一通り済んだ我々も、水遊びをしていくことにしよう。タオルを持って、水に入って顔を洗った。

 ……うー、コケくさい……

 さすがに鮎釣りのベストポイントだけあって、川底には彼らの餌となるコケがびっしり。なんか顔を洗ったのか汚したのかよくわからないが、まあ水にはいるというのは気持ちのいいものだ。一時の清涼感を楽しむことが出来た。

 さて、さっぱりしたところで、一路静岡県へと戻っていく。

 途中、担々麺を専門とするチェーンのラーメン店で夕飯。これが結構イケた。じつはこれで3晩連続ラーメンだ。しかし、筆者はこの翌日にもまた担々麺を食う羽目になろうとは、このときは知る由もなかった。

99.8.18

<< 前編へもどる

表紙 >>

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送