■ １ ■
あたらしい期が始まる１０月１日。
その日の未明、３７年間夢をつないだ
ドリーム交通のレールが、
ついに途切れる時が来た。
末端部からはすでに撤去が始まっているが、中間点が途切れるのは、
この工事が初めてとなる。
場所は、大船駅付近、「柏尾川橋梁」だ。
ドリモノを追ってきた自分としては、どうしても
この瞬間をこの目で見ておきたく、
はるか７０キロの道のりをバイクで飛ばし、
深夜の大船駅にたどり着いた。
すでに足場は組まれ、溶断のバーナーが飛び散らす火花が
当たりを照らしていた。
共にやってきたY君と共に、
現場の対岸に腰を下ろし、作業を見守ることにした。
深夜の大船の山々に、作業員の声と、シューという火花の音、
そして時々起きる金属音だけがこだまする。
