ここでは、小雀信号所に設置されている転轍機(ポイント)の構造について、詳しく考察してみよう。

 

■1 転轍機の概要

まず、転轍機部のレイアウトは、概略【図1】の通り。

 


【図1】転轍機のレイアウト (ポインタを当てると動きます)

 

 青い部分が、通常の鉄道で言うトングレールにあたる、移動軌条である。この部分が左右に動いて、本線と上り線もしくは下り線を接続する。上りと下りの移動軌条は連結されており、操作時には同時に動くようになっている。
 移動軌条は、上下線の端を中心に、ちょうど車のワイパーのように移動する。
(上図にマウスポインタをあてると、どのようにレールが移動するか確認できる)
 本線に接続されない方の移動軌条は、安全のため、自動的に車止めや引き上げ線に接続される。

 【図1】はドリームランド方のものを表したものだが、大船方も引き上げ線が無い以外は、構造的に同じである。

 1番線(下り線)は、本線と同一線上にある。それから分岐する形で2番線(上り線)が敷設されている。つまり、このポイントの定位は1番線側である。
現在は、この定位の状態で放置されている。

 現在普通に用いられている跨座式モノレールのポイントは、1本のトングレールが自在に曲がり、分岐先への進路を構成するものがほとんどだ。それに比べると、この構造は単純且つ原始的であることがわかる。
 

■2 移動軌条

 移動軌条を詳細に見てみよう。

 


【写真1】転轍機全体

 

1番線側の移動軌条はストレートであるが、2番線側は湾曲している。そのRは、本線に接続されたときになめらかな軌跡になるように設計されている。
 移動軌条が本線から外れて車止めや引き上げ線につながっているときは、旋回中心で折れ曲がった形になる。そのため、旅客車はここにひっかかって進めなくなる可能性がある。このことからも、引き上げ線は救援車専用であるとわかる。

 軌条を移動する動力は、油圧である。1番線側軌条下に、駆動シリンダが取り付けられ、それによって軌条をスライドさせている。

 


【写真2】駆動部

 

2番線側は、1番線軌条と連結棒によってリンクされている。1番線が動けば、それに引っ張られて2番線も同時に動く構造である。


【写真3】移動側と制御機器

 

 移動軌条の本線側下には、旋回の案内となるレールが敷かれている。これにサドルと呼ばれる台車が乗り、サドルに移動軌条が置かれている。
サドルにはラックが取り付けられ、いっしょに移動する。ラックは、旋回すると、橋脚側に取り付けられた信号用制御器を動かすようになっている。この制御器はリミットスイッチが併設されており、旋回停止信号を送る位置決め装置である。

 

■3 固定軌条

 移動軌条と本線(PS桁軌条)の間には、短い固定軌条というものが設けられている。

 


【写真4】固定軌条

 

 本線(単線)側の固定軌条には、ロック機構が内蔵されている。移動軌条が正しい位置に来たら、ロックをかけて移動しないようにする装置だ。
 構造は、ロックシリンダがロックレバーを押し、その先についているロックピンが移動軌条に差し込まれ、定位置に固定する。


 複線側にも、固定軌条が挿入されているが、こちらには移動軌条の旋回中心となるピンが打ち込まれていて、移動軌条とのリンクを構成している。

 

■4 動力

 動力源となる油圧を作り出すオイルユニットは、駆動シリンダと同じ橋脚に据え付けられている。それを操作制御する盤も隣に設置されている。盤には、駆動方向を切り替える電磁弁関連の装置が収められていると思われる。

 


【写真5】動力部

 

 ロックシリンダの動力も油圧である。ポンプのあるとなりの橋脚から配管をする必要があるため、この橋脚の間には配管連絡橋が設けられている。

 

■5 信号設備

 小雀信号所には、当然ながら信号機が備え付けられていた。

 信号機を含めた保安システムについては、こちらで解説する。

 

本ページの考察は、現地調査と、pompomjoki氏提供の「転てつ機図面(電気車の科学)」に基づいたものです。資料を提供くださったpompomjoki氏にお礼申し上げます。なお、すべての文責は、筆者にあります。内容に関するお問い合わせ・ご意見はhiraido@geocities.co.jpまでお願いします。

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