過去の栄華 その1 |
●下津井電鉄
■ 2 ■
鷲羽山駅は、その曲がったホームを静かに横たえていた。
便所小屋が残っていた。
踏切には、まだレールが残っている。
実は、レールが剥がされたのは、訪れたつい数日前のようだった。
線路跡には重機が入っていた。
そして、枕木を掘り出した跡はまだ、まるで型で押したかのような
シャープな直方体の空間を保っていた。
終点の下津井駅に着いた。
がらんとした駅。
構内は、人が数人いて、何かの作業をしていた。
どうもレールを剥がしていたらしい。
もう少し早く来れれば…
構内の半分は、バスの墓場になっていた。
雲が、厚くなった。
港に行って、持っていた弁当を食べおわった頃には、
小雨がぱらついてきた。
短い探訪は、ここでおわり。
車に戻って、旅を続けよう。
おわり
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